Live Love Laugh! 一生懸命生きて たくさん笑って 心から愛そう
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- 大草 直子 スタイリスト、エディター
大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。「ヴァンテーヌ」(現在休刊)の編集者を務め、その後フリーランスに。2019年にはメディア『AMARC(アマーク)』を立ち上げ、「私らしい」をもっと楽しく、もっと楽にするためにファッション、ビューティ、生き方のレシピを毎日お届けしている。2021年には「AMARC magazine」を発刊。今年の春には、オンラインサロン「大草直子のSTYLE CAMPUS」も開設。Instagram@naokookusa
目次
様々なジャンルの第一線で活躍する女性に、豊かなオトナ時間を生きるためのヒントを伺うインタビュー連載。第1回は、ファッションスタイリスト大草直子さん。
ファッション誌の編集者を経てスタイリストとして独立。現在は雑誌やカタログで編集やスタイリングをこなすかたわら、 トークイベントの出演や執筆業、さらには2019年に立ち上げた自身のメディア『AMARC』にて積極的に情報を発信。ファッションが好きな女性なら知らない人はいないのでは?というほど、大人気スタイリストの大草さんですが、実際にお会いしてもメディアで拝見する弾ける笑顔そのまま! 明るく、大きなエナジーに溢れた魅力的な女性でした。どうしたらそんなふうに生きられるのでしょう。仕事のこと、人生のこと、支えてくれるアイテムなどをお聞きしました。
ファッションの仕事はあくまで趣味ではなく「生活のため」

ー長い間、メディアやファッション業界の第一線で走り続けていらっしゃる印象です。正直、この業界は大変なことも多くないですか?
実は私、仕事で「嫌だ」と思うことがひとつもないんです。この仕事って、すぐに結果が跳ね返ってきたりもする反面、収入は安定しない。そして人気稼業みたいなところもあるので常に競争だったりもする。けれど、それらも含めて全部が好き。ロケの早起きだけはちょっと苦手ですけど、年齢とともにだいぶ朝も強くなってきましたし(笑)。ただいつもインタビューのときにお話するんですけど、ファションの仕事って、趣味の延長でやっているように見えがちなんですけどまったくそうではなくて。「生活のためにやっている」ということ。仕事でなければ、ここまで心血を注いでなかったと思います。大変だけれど、仕事だから、生活のためだから…と、仕事への思いは至ってシンプルなんです。
ー華やかに見えますが地道にプロフェッショナルとしての努力をされているのですね。でも、もともとファッションの仕事をしたいと思ってらしたんですよね?
中学校の卒業文集の将来の夢の欄に、ファッション誌編集者と書いていました。今では編集やスタイリングだけでなく、服やプロダクトを作ったり、オンラインサロンを主催したり、メディアを立ち上げてみたり…と、ファッションを軸にいろいろやらせてもらってるぐらいですから、もともとファッションに興味があって、好きではあったのは確かです。
アンパンマンのようにわが身を与える働き方を「是」としてきたけれど

ー嫌なことが1つもない仕事ということですが、年齢を重ねるにつれ、仕事への向き合い方が変わったりされましたか?私生活とのバランスはどのように?
今、まさにその調整をやってる最中です。私の場合、「自分が商品」みたいなところがあるので、その部分を今後、どうしていくかということを考えています。自分の名前でいろいろと発信している人には2タイプいると思っていて、自分の身を人に与えるようなアンパンマンみたいな人と、自分を消費させない人。私は断然前者タイプです。
なぜなら、ファッションはエビデンスがないので自分が経験したことが知識であり、経験のレイヤーだけが説得力なんです。ゆえにこれまでは物をたくさん買い、いろんなファッションを試してきました。今もこの考えは変わっていないのですが、年齢を重ねるにつれ、昔はここまで着れたけど、今はこれしか着ることができないといったことは当然出てくるわけです。今まではアンパンマン的な在り方を「是」としてきましたが、これからは自分の全部を差し出すのではなく、もう少し人に任せたり、プロデュース側にまわることを意識してもいいのかなと思ってもいます。
ー大草さんが紹介するアイテムは必ず売れる!というのはこの業界の定説です。大草さんに憧れているファンの方が、たくさんいらっしゃいますよね。
ありがたいことですよね、それで生活できているのですから。でも、客観視してみると憧れとはちょっと違うかなと思います。私がお見せする「リアルな部分」に、どちらかというと共感してくださっているというのが近いのかもしれません。もちろん取り繕うこともありますが、嘘のない自分をお見せしてきましたから。
子離れ、そして離婚を経て今感じる大きな変化
ー嘘がなく真正直に生きる大草さんですが、現在に至るまで、価値観がシフトされるような分岐点はありましたか?
自分の心に正直なので、サルサに夢中になって25歳で出版社を辞め、南米に留学したりといろいろな経験をしてきましたが、ここ数年でいうとやはり子供が大きくなったことと、昨年離婚したことでしょうか。仕事ももちろんそうですが、子育てや結婚生活って、自分のエネルギーを自分以外のものにも向けなくちゃいけない。その子供やパートナーにかけていた、手も、目も、時間も、自分にかけられるようになったというのは、精神的な意味でとても大きな変化を感じています。27歳から30年近く、母や家庭人として生きてきたので。
離婚に関しては、きっと20年、30年たったときに、凄く自分を見つめ直して内省して決めたこの決断を「あの時だったよね、今の私があるのは」っていう風に思い返すようになる気がしています。なんせ、2年間みっちり話し合って決めた選択なので。
誰でも生きているといろいろなことがありますよね。その都度、向き合ったり、考えたりして、価値観が更新されながら、人って年齢を重ねていくんだと思います。今着ている服も、発する言葉も、仕草も、佇まいや空気感でさえも…全部、その人の今までの人生が凝縮されたものなんですよね。だからこそ、目の前の1つ1つの選択を大切にしていきたいと思います。

ー大草さんのように自分らしく美しく生きるための指針を、教えてください。
たくさんの読者さんやユーザーさんにお会いしますが、Sサイズとか48kgとか…「規格」に凄く答えを求めてる人がとても多いんです。それって辛いことだなと思うんです。なぜなら、規格に自分を当てはめなくてはならないから。そうやって自分らしさを押さえ込むよりも、体重は57kgあるけれど、肌や輪郭は引き締まっていて、ボディはメリハリがあってカービィで、嫌なものを溜め込まずにポジティブなエナジーに溢れていたらとても素敵じゃないですか? そういう状態を目指したいなと思っていて、じゃあ、それってどういうことだろうって考えたら、それは一定の規格ではなく、「フィット&トーン」な状態であるってことだなと思ったんです。肌も、ボディも、心も、澱んでおらず巡っていて、健康で、メリハリがある。そういう状態です。
ー具体的にはどのようなことをされていますか?
愛用アイテムは下にご紹介しますが、ボディに関しては程よい筋肉量と姿勢は絶対に必要。私は100歳まで自分の足で歩きたいと思っているので(笑)。筋肉をつけるための努力は、一生懸命、頑張っているところです。心に関してもメリハリを意識しています。メンタルも一度緩めないとまた引き締めることができないので、1日の終わりには必ずオンからオフへスイッチを入れ替えて、心を緩めます。大好きな赤ワインをいただきながら愛猫の「パニたん」と戯れたり、読書をしたりなど。

ー大草さんが、大切にしている言葉は?
Live Love Laugh!
一生懸命生きて たくさん笑って、心から愛そう みたいな言葉です。
「フィット&トーン」を叶える大草さんの愛用アイテム
撮影/古谷利幸
モデレーター/田口まさ美
エディター/藤木広子