2児の母であり医師、37歳でクリニック開業、仕事に「全ぶり」の背景
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- 永峯 祥子
2013年北里大学医学部卒業。東京慈恵医科大学附属病院で初期臨床研修を行った後、小児科の道に進む。2018年に小児科専門医の資格を取得後、美容の道へ。大手美容外科に勤務し、院長や技術指導医としての経験も積む。結婚、出産を経て、個人クリニックに勤務後、2024年に自身のクリニックであるラヴィラ広尾を開院。最新の美容情報、プライベートほか美容専門医の日常をつづるInstagram@dr.nagamineも人気。
目次
スペシャリストとして専門性を磨きつつ、母や妻として豊かな時間を生きる女性たちのキャリアと人生について伺う連載です。第11回は美容クリニック・ラヴィラ広尾院長・永峯祥子さん。その人が望む美しさを引き出す医師であり、経営者であり、2人の子供の母でもある永峯さんの日常とは……

母が亡くなった年に次男を出産、開業を決意
――2024年、永峯さんは37歳の時に広尾にクリニックを開院しました。かなり広く、スタッフの数も多いです。しかもこの時、第2子を出産したばかりというから驚くばかり。この大きな決断をした背景をお願いします。
私はかなり慎重かつ用心深い性格なので、クリニックを開業したいという願望もありませんでした。そんな私の気持ちに変化があったのは、36歳の時に母が癌で亡くなったことと、次男の出産が重なったことでした。育児との両立を考えると、独立が現実的になり、「今やらずに、いつやるの!?」とすごいパワーが出てきました。
そう思ったときから、物件探しを始めました。私は広尾の街が好きで、自分の理想を追求する医療を行うクリニックを作るなら、この街しかないと思っていました。その理由は、都心にありながら、喧騒から離れており、隠れ家のような雰囲気があるから。広尾なら、患者様も安心し、くつろいでいただけると思ったのです。
多くの物件をご紹介いただきましたが、どこも決め手に欠けており、それでも妥協はしたくないと思っていたある時、この物件を見せていただいたのです。その時、「ここだ!」と直感。床面積は378㎡と広いので、スタッフも集めなくてはならないし、開業費用もかかる。でもそれを吹き飛ばすほど、この場所と私の縁が繋がった感じがしたのです。他にも希望する方がいたのですが、「私はここで開業できる」という確信がありました。
私は幼い頃から集中すると自分の思考に潜り、そこで掴んだイメージを実現していくような感覚がありました。この場所に立った時に、開業後の風景が見えたのです。
覚悟を決めた大学浪人時代、日々猛勉強の末、医学部に合格
――ラヴィラ広尾のデザインコンセプトは、「Comfortable soft resort」と伺っています。地中海リゾートのような雰囲気のクリニックは、開業後から著名人やインフルエンサーほか、多くの方が訪れています。やはり直感に従い行動すると、自分自身も関わる人も幸福になるのだと感じました。
そうですよね。私自身、直感をとても大切にしているかもしれません。私が美容医療の道に進んだのも、高校3年生の時に、たまたま見たテレビに美容外科医が登場しており、「私の進む道は、これだ!」とピンと来たから。
幼い頃からメイクやファッションが好きで、「メイクさんか、美容師になろうかな」とぼんやりと思っていたんです。そこからの医学部受験ですから、現役では勉強時間が足りず、浪人することに。この1年間は「ここでダメなら、人生終わりだ」と覚悟を決め、日々猛勉強して、合格しました。直感を現実にするには意志と努力が必要であることも、浪人時代に学んだように思います。
入学後はウィンドサーフィン部で活動する一方、医師国家試験に向けて勉強に励みました。合格後の初期臨床研修では小児医療に強く心を惹かれ、小児科の道を選びました。すぐに美容に関連する分野へ進むこともできましたが、まずは保険診療の現場で医療の基礎をしっかりと学びたい、という思いが芽生えたためです。実際にとてもやりがいのある分野であり、無事に小児科専門医を取得することができました。

体全体を考えながら、美にアプローチ
――Instagramを見ていると、永峯さんはその人の体、そして人生全体を捉えていることが伝わってきます。「不要な施術を避け、長期的なアンチエイジングを実現する」という理念の背景に、小児科の経験があったのですね。
はい。人の体はそれぞれが関連して”今”があります。例えば、シワやたるみの原因が、筋肉のこわばりや骨が痩せることだったりします。美容医療は、生活習慣やその方の性格も含め、トータルで考え、過不足なく施術することがとても大切なのです。保険診療時代に学んだ、全身管理や薬理の知識もとても役立っています。
今、美容分野は、著しい進化を遂げています。学会やセミナーに出席すると、新しい施術方法やアプローチがわかり、ワクワクします。私も積極的に発表したり、教科書の執筆などを行っています。やはり、後進の医師に技術を伝え、美容医療全体を盛り上げていきたいのです。そのことが、これまでお世話になった先輩方への恩返しになると思っています。
加えて今の私は、経営者でもあるので、ハードな毎日ではあります(笑)。開業するまでは勤務医として週3で仕事をしていたのに、今は朝から深夜までフルタイムで働いています。人生で今が一番過密ですが、最も幸せな時間を過ごしています。

家事と育児のほぼ全てを担当「夫は120%完璧な父であり、伴侶です」
――永峯さんは34歳と36歳で出産し、現在は3歳と2歳の息子の母ですが、仕事とどのように両立しているのでしょうか。
両立は、実際できていないんですよ。私は仕事に「全ぶり」しているので、夫が家事・育児のほぼ全てを担当してくれています。そういう夫も大学病院の整形外科の勤務医としてフルタイムで働いており、とても忙しいのです。でも、私が仕事に集中できるよう、頑張ってくれています。
私がここまで仕事に全振りできるのは、夫のおかげ。私も毎週日曜日は家族の日と決めています。さらに、月に1回、ディズニーランドやプール、映画、ドライブなど家族全員が楽しめる場所に行き、リフレッシュしています。
――夫は「いがぐり旦那」として永峯さんのInstagramにも登場。先日は、永峯さんが家賃、教育費、生活費ほか全てのお金を払っていることを紹介し、話題になりました。新しい家族の在り方だと感じた人は多いです。
大きな反響をいただきましたが、好きな仕事をさせていただき、今は私の収入の方が多いので、家計費の全てを払うのは当然のこと。今の夫でなければとっくにお別れされてしまっていたかもしれません。”いがぐり旦那”は、120%完璧な父であり、伴侶です。
とはいえ、夫とは対等な関係ですし、包み隠さず話せる相談相手でもあります。夫婦でありながら、医療の道を歩む同志なんですよね。この前、話の流れから「多分、俺の方が肩ボト(肩ボトックス注射、肩こりの緩和の治療に有効)は、うまいよ!」と言われ、全くその通りだと。やはり医師は得意分野と経験が大切です。ですから、私も夫も臨床が大好きです。
――いがぐり旦那さんとの結婚は直感だったのですか?
それが、違うのです(笑)。私が29歳の時、郊外のある病院に出向したら、たまたま夫がいたという。当時、付き合っていた人と別れたばかりで、「このままでは結婚できない」と焦っていたタイミングでした。
その病院では若手医師が集まって食事をすることが多く、自然と夫と2人で会うようになり、惹かれていったのですが、夫は何も言ってくれない。私の方からアプローチして、付き合うようになりました。それから初めてのクリスマスでプロポーズしてもらってから、もうすぐ10年。いつでも私の味方をしてくれて、子供たちを守ってくれて、本当に感謝と尊敬しかありません。
――家庭が安定していると、仕事に集中できると感じている人は多いです。
本当にそう思います。だから、今後も患者様もスタッフもみんな幸せになれるように、持っている力を全て出し切っていきたい。患者様が気になる部分を改善し「こういう私が好き」と思ってくださることで、その人の人生が底上げされると思うのです。そうすれば、きっと患者様の周囲の人も幸せになる。やはり、美容医療は世の中全体を明るくする医療だと確信しています。そのために、私自身が楽しみながら、この道を進み続けます。
そんな永峯さんが大切にしている言葉は?
人との信頼、人とのつながりの中で生きる。
医師の道を志してから、両親や多くの先生に励まし助けていただきました。大学生、研修医時代は多くの先輩たちが惜しみなく知識や技術を教えくださり、働き始めてからも多くの方の応援があったから今があります。この連鎖を未来に繋げるには、活動し続けて全ての出会う人に幸せになっていただきたいと思っています。
永峯さんの仕事と美に欠かせないアイテム
心安らぐ香水とルームフレグランス
左から ”ジョー マローン ロンドン”の”ネクタリン ブロッサム & ハニー コロン”、”LE LABO”の”プチ グレイン 21ホーム フレグランス”、”ゲラン”の”アクア アレゴリア フォルテ フローラブルーム”。「フローラルやフルーツの甘い香りは、気持ちを和らげてくれるので、クリニック内でもよく使用しています。香りも直感で購入することが多いです」(永峯さん)
むくみと肩こり対策グッズ
左から ”ReFa”の”リファダブルレイ”、”コラントッテ”の”コラントッテ ネックレス CREST SMART”、”ReFa”の”リファビューテック ヘッドスパ”。 「学生の頃から肩こりがひどく、磁気コードネックレスを常につけています。”リファ”のアイテムは、むくみ対策用。毎日使っています」(永峯さん)
撮影/古谷利幸 モデレーター/田口まさ美 エディター/前川亜紀